第94章 諦めない

時間はあっという間に水曜日になった。

鈴村茜は自分の平らな下腹にそっと手を当てる。金曜日には中絶手術を受ける予定だ。

ここ数日、彼女はモデル講師について歩き方を叩き込まれていた。10センチのヒールで行ったり来たり。何度も、腹の奥がぐっと引きずられるように沈む感覚に襲われた。

それでも歯を食いしばって、練習を続けた。

いっそ自然に流れてしまえば手間が省けるのに、と幼い考えが頭をよぎったこともある。血が止まってしまえば……全部、終わる。

けれど、この子は……妙にしぶとかった。

それが、かえって茜の胸を刺す。

でも、どうしようもない。佳澄の今と、この子の未来を思えば――苦しませたくな...

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