第5章

 月島花と陽斗はどこのホテルに泊まっているのだろうか。顔を見に行くべきか否か、黒崎修は思い悩んでいた。

 結局のところ、自分は花の夫であり、陽斗の父親なのだから。花を、自分を陥れた仇敵として憎み続けることなどできない。

 だが、答えは出なかった。

 午後六時半。彼は久良由美を伴い、取引先が主催する馬場荘園の晩餐会へと向かった。

 会場である広間は、煌びやかな光に包まれている。

 修はシャンパングラスを片手に掃き出し窓の前に佇んでいたが、その焦点はどこにも定まっていない。

 花は悲しんでいるだろうか。陽斗はこれから、自分のことをただの「おじさん」としか呼ばなくなるのだろうか。

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