第百章

「そこまでよ」

琴音は後ずさりし、二人の間の距離を完全に取った。

これ以上、沙也加と関わり合うつもりはない。「これは勝負。賭けの条件は最初から決まっていたわ。あなたに拒否権なんてない」

彼女は司へ視線を送る。

司はとうに口を挟みたかったのだろう。琴音の合図を受け取ると、静かだが有無を言わせぬ威圧感を込めて言葉を継いだ。

「水原さん、賭けが成立した以上、潔く負けを認めるべきだ」

彼は一拍置き、さらに付け加える。「もちろん、どうしても約束を反故にするというなら、私から九条グループの弁護士チームをそちらへ向かわせてもいい」

その言葉に込められた脅しは、これ以上ないほど明白だった。

...

ログインして続きを読む