第百七章

「九条社長、少しお顔の色が……。外の空気を吸われてはいかがですか?」

司はすぐには答えなかった。片手を上げてこめかみを揉みほぐす。その呼吸は、先ほどよりも明らかに荒く、重くなっていた。

彼は振り返って琴音を見た。その瞳は普段よりもずっと暗く沈み、底知れぬ複雑な感情が渦巻いている。声も、ひどく低く掠れていた。

「琴音……少し気分が悪い。頭が重くて……外の空気を吸ってくる」

琴音はずっと彼を見つめていたからこそ、声の異変にも、その顔に浮かぶ不自然な赤みにも、すぐに気がついた。

心臓が嫌な音を立てて跳ねる。先ほどの嫌な予感が確信に変わった。

すぐさま立ち上がろうとする。

「私も行く…...

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