第百八章

エレベーターの扉が琴音の目の前で完全に閉まり、上昇を示すランプが無情にも点灯した。

琴音の心はどん底まで沈み込み、巨大な絶望とパニックが彼女を飲み込もうとしていた。

沙也加のあの勝利を確信したような目、客室フロアという行き先、そして司と連絡が取れないという事実……。

脚の痛みがさらに鋭く走り、冷たい壁にすがりつきながら、今にも崩れ落ちそうになる。

目の前が真っ暗になりかけたその時――。傍らの非常階段の扉の奥から、熱を帯びた力強い大きな手が不意に伸びてきて、彼女の手首を強く掴んだ。

「きゃっ――!」

琴音は短い悲鳴を上げ、心臓が止まるかと思った。恐怖から最後の力を振り絞って必死に身...

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