第114章

あり得ない。

その考えが頭をよぎった瞬間、彼はそれを力ずくでねじ伏せた。

琴音だと? あの弱々しくて、いいように扱える捨て犬のような女が。

そんな女が、今ジュエリーデザイン界に旋風を巻き起こし、九条グループが総力を挙げて推している謎の天才デザイナー『MK』だというのか?

まさに笑い話だ!

だいたい、司という男を誰だと思っている。

あいつが琴音なんかと関わりを持つはずがない。望めばどんな女だって手に入る男なのだから。

よほどのことがない限り……そう、琴音が何か卑劣な手を使って、司をたぶらかしたとでもいうのなら別だが。

琴音のあの妖艶な顔立ちと、最近見せるようになった以前とは別人...

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