第百十七章

寧々の顔に張り付いていた作り笑いが、ふっと凍りついた。代わりに浮かび上がったのは、嫉妬と警戒が入り混じった複雑な表情だ。

炎を引く手に無意識のうちに力がこもり、子どもが「痛っ」と声を漏らす。

「琴音?」寧々の声は甲高く上ずっていた。「どうして、あなたがここにいるの?」

彼女の視線が琴音と和也の間をせわしなく往復し、最後に、和也が未だに琴音の手首を掴んでいるその手に留まる。瞳の奥に、どす黒い感情がよぎった。

あれほどの事態になったというのに、なぜこの二人がまた一緒にいるのか。

琴音は冷ややかな顔で、和也の手を無造作に振り払った。その動作には一切の躊躇がない。

寧々たち母子を一瞥し、...

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