第119章

「あいつにそんな度胸はない!」

和也は口ではそう言ったものの、内心では少し自信が揺らいでいた。

今日の琴音は、彼がぞっとするほど見知らぬ他人のように感じられたのだ。

寧々は彼の顔色を窺いながら、その瞳の奥に計算高い光を走らせた。

彼女は炎を抱きかかえて立ち上がる。

「やっぱりだめ。炎を病院へ連れて行って検査してもらうわ。万が一、内臓が傷ついていたらどうしよう……」

「もういい」

和也はそこでようやく自ら歩み寄り、彼女と、泣き疲れて眠ってしまった炎を抱き寄せた。

その口調には、いくぶんかの労りが混じっている。

「医者を家に呼んで炎を診させよう。こんな夜更けに、わざわざ病院まで...

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