第14章

突然、重厚な扉が開かれた。長身の秘書が個室のドアを押し開けると、室内の眩しい光に琴音は思わず目を細めた。

無意識のうちに、視線は室内にいる一人の男へと引き寄せられる。

男の冷ややかな瞳が、琴音の顔をすっと撫でるように通り過ぎた。

ATの社長が、まさか司だったなんて――琴音には到底予想もつかないことだった。

ここ数年、彼女は意図的に彼の話題を避けてきた。だが、司の存在感はあまりにも大きすぎた。

一体、いつからだっただろうか。

三年前、司が圧倒的な力で九条家の実権を握って以来、ニュースで彼の名を目にする機会は日に日に増えていった。

それと同時に、彼の存在はますます謎めいたものになっ...

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