第16章

琴音は目を細めた。街灯の光が司を照らし出し、すっと通った鼻筋と端正な目鼻立ちを夜闇に浮かび上がらせている。

彼が少し力を込めただけで、和也の体は万力で締められたように身動き一つとれなくなった。

腕に走った鋭い痛みに、和也は顔をしかめて振り返った。どこの命知らずだ、と毒づこうとしたが――司の姿を目にした瞬間、自分の目を疑った。

「司……?」

ほんの一瞬で、和也の脳内は嫉妬と怒りの業火で埋め尽くされた。

琴音の奴、本当に俺を裏切っていたのか!

Y市の裏表を知り尽くしている彼が、司の名を知らないはずがない。それに、かつて琴音と司が付き合っていた過去も知っている。

とうに終わったことと...

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