第30章

「分かりました」彼女は冷たく言い放つ。「ですが、九条社長にはビジネス上の距離を保っていただきたいです」

「いいだろう」司は即答したが、その深淵のような瞳は彼女を捉えて離さず、微塵も逸らす気配がない。

オフィスのドアは開いたままで、外から社員たちが様子を窺っていたが、司の冷ややかな視線に触れるや否や、慌てて首を引っ込めた。

琴音はこれ以上ここに留まる気になれず、きびすを返して自分のデスクに戻り、再び仕事に没頭した。

退勤時間が近づいた頃、デスクの上のスマホが狂ったように震え出した。

複雑に絡み合っていた琴音の思考は断ち切られ、先ほどの集中状態に戻るのは難しかった。

スマホを手に取る...

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