第42章

見知らぬ番号だった。

琴音は少し躊躇したが、通話ボタンを押した。

「もしもし」

「水原さんですか?」マイク越しに、柔らかな女の声が響く。「村樫夕理です」

琴音のペンを動かす手が止まった。

村樫夕理。司にとっての『高嶺の花』であり、かつて琴音が司から距離を置いた原因でもある女だ。

「ご用件は?」

「水原さんと少しお会いしたいのですが。あなたのオフィスの下にあるカフェでいかがですか?」

夕理の目的は読めなかったが、琴音は時計をちらりと見て承諾した。

「十分後なら」

通話を切り、荷物をまとめて下へ降りる。

オフィスビルの一階にあるカフェは、シンプルな内装で客の姿もまばらだった...

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