第44章

琴音は目を輝かせた。

「馬場ですか?」

幼い頃から都会で育った彼女は、本物の馬場というものに行ったことがない。見渡す限りの草原で馬を駆る、あの自由な感覚にずっと憧れを抱いていたのだ。

「行ってみたいです」

彼女は迷うことなく、自分の素直な思いを口にした。

その隠し立てのない真っ直ぐな態度に、司の瞳の奥にふっと仄暗い熱が宿る。

慶山社長はすっかり気を良くしていた。彼のような受注側にとって、司から無理難題を吹っかけられることより、何も要求されないことの方がよほど恐ろしい。見事に機嫌を取ることができた今、この契約はもう九割方まとまったも同然だと確信していた。

「がっはっは、では決まり...

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