第53章

琴音は拳をぎゅっと握りしめた。

「言いたいことはそれだけ?」

「それだけ、ですって?」夕理は冷笑した。「まだ始まったばかりよ」

彼女は顎をツンと上げ、優越感に満ちた目を向けた。

「司が怪我をしたのは、あんたみたいな足手まといのせいじゃない! よくもまあ、厚かましく彼に付きまとえるわね」

「あんたがいなければ、彼が撃たれることなんてなかったのよ!」

「あんたは疫病神よ。関わった人間はみんな不幸になるんだから」

琴音の顔から血の気が引いた。

――そんなに早く広まっているの?

まさか、和也が本当に言いふらしたのだろうか。

その様子を見て、夕理はさらに勝ち誇ったように笑った。

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