第54章

「そんなことないわ」夏帆は優しくなだめた。「あなたみたいないいお嬢さん、司だって好きに決まってるじゃない」

「でも……」夕理はさらに泣きそうな声を出した。「私に隠れて、愛人を囲ってるんですよ!」

「一体どういうことなの?」夏帆の声音がスッと冷たくなった。

「今、石川社長の件で世間を騒がせているあの琴音です」夕理はここぞとばかりに大げさに言った。「昨日の夜、司が彼女の病室で一晩中付き添っているのを見ちゃったんです」

「今日、ご主人とちゃんとやり直すように説得しに行ったんですけど、そしたらあっちからふんぞり返って、司が私と結婚するはずないって言い放ったんですよ」

「おば様、どうか私の味...

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