第61章

司は込み上げる感情をぐっと抑え込み、九条社長としての威厳ある態度を取り戻した。

「この後会議がある。君も同席するように」

琴音が頷くと、二人は瞬時に仕事の顔へと切り替わった。

傍らに立つ沙也加は、司の冷ややかで端正な横顔と、琴音に向ける優しい眼差しを見て、思わず胸をときめかせていた。

男が背を向け、琴音と共に立ち去ろうとするのを見て、彼女は慌てて声を張り上げ、琴音の悪事を並べ立てた。男が足を止め、どういうことだと尋ねてくれば、そのまま連絡先を聞き出せるという魂胆だった。

「琴音! 実のお母さんを死に追いやって、自分の結婚生活もめちゃくちゃにしたくせに、今度は実の弟まで痛めつけるなん...

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