第63章

継母は長年培ってきた貴婦人の仮面を投げ捨て、腕を振り上げて再び琴音に制裁を加えようとした。

琴音が身を翻して躱すと、継母は空を切り、数歩よろめいてあわや転倒しそうになった。念入りにセットされた髪は振り乱れ、その姿はまるで路地裏でわめき散らす狂人のようだった。

「このクズが、よくも避けたわね!」

琴音は鼻で笑い、すかさず嘲りを返した。

「自分の立場を分かってるの? 愛人から成り上がった分際で、私が昔みたいにお母様って呼ぶとでも思ってるわけ!」

「寝言は寝て言いなさい!」

琴音の容赦ない言葉に、病室の空気は凍りついた。痛みに思考を鈍らされたのか、それとも自分に味方がいると気づいて強気...

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