第68章

司はハッと我に返り、珍しく笑みをこぼした。

「それなら、全員に給料一ヶ月分をボーナスとして支給しよう」

「やったー! 九条社長、太っ腹!」

「本当ですね! 水原さんのおかげです、ありがとうございます!」

琴音もこの絶大な功績をそのまま独り占めするわけにはいかず、謙遜の言葉を並べ立てた。人垣越しに司と視線を交わすと、二人の間には密かな阿吽の呼吸が流れていた。

夜八時。琴音と梨乃は、高級レストランのテーブルに向かい合って座っていた。

琴音の勝利を祝うため、梨乃がわざわざセッティングしてくれたディナーだ。

温かみのあるオレンジ色の照明の下、テーブルには色鮮やかで上品な料理が並ぶ。梨乃...

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