第74章

琴音はもう、以前のように「清い者は自ずと清い」と信じて沈黙を貫くようなことはしなかった。

「ふざけるな!」

琴音の乱暴な言葉遣いに、和也は目を見張った。琴音が人を罵るのなど、今まで一度も聞いたことがなかったからだ。

「和也、その腐った頭で少しはまともに考えたらどうなの!」

「あなたたちがいつ病院に来るか、私が知るわけないでしょ」

「私が最近どんな目に遭ってるか、本当に知らないの!」琴音の瞳から、ありありと嘲笑が漏れ出す。「母のお墓にはペンキをぶちまけられ、家のドアにもペンキを塗られ、おまけに実の父親は自分の馬鹿な息子を守るために、私を身代わりに差し出したのよ」

「そんな私が、わざ...

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