第92章

和也は最初、疑念を抱いていた。

何しろこのプロジェクトは、元々好井グループが手掛けていたものだ。

それに、好井グループが理由もなくこの旨味のある話をあっさり手放すはずがない。当初、彼らがこのプロジェクトを手に入れるため、どれほど多くの中小企業を敵に回したことか。S市全体を敵に回したと言っても過言ではないほどだ。

それに……

和也と琴音の離婚裁判はまだ続いている。これが琴音の仕掛けた罠ではないかという懸念も、当然彼の頭をよぎった。

だからこそ、和也はすぐには飛びつかなかった。

彼は慎重を期して、提携先の相手を直接呼び出し、探りを入れることにした。

『流雅小築』にて。

琴音と司は...

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