第93章

――こ、これは気まずすぎる!

琴音は無意識に二人の関係を弁解しようとした。

だが、先ほど流雅小筑の個室で漂っていた甘い空気が、ふたたび脳裏をよぎる。

司の深い包容力、彼が纏う上品な雰囲気。そのすべてを前にして、自分たちは恋人同士ではないなどと、どうして口に出せようか。

司は優雅で落ち着いた身のこなしで、ギャルソンからその巨大な薔薇の花束を受け取った。

燃えるような赤が彼の端正で冷涼な目元を際立たせ、息を呑むほど美しく、そして艶やかな光景を描き出している。

琴音は自分の顔が火が出るほど熱くなるのを感じた。

彼女は司を直視できず、視線を泳がせる。

「こ、このレストラン、こんなサー...

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