第7章
彼は入り口のそばに立ったまま、私の向かいにある椅子に座ろうとはしなかった。その距離が、途方もなく遠く感じられた。
「来てくれるかどうか、自信がなかったの」と私は打ち明けた。
「僕もだ」
少なくとも、正直ではある。
窓の外では湖面に月光が反射し、キャビンの壁に銀色の模様を映し出していた。ロマンチックであるはずの光景。それなのに、まるで法廷にいるかのような気分だった。
「あなたに謝らなければならないことがあるの」と私は言った。
「そうか?」
彼の声は、感情を抑えているのが分かった。馬小屋にいたときのような怒りはなく、かといって温かみもなかった。
「ええ。たくさんのことにつ...
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