第198章

「久志、どこに行くの?」

「怪我がまだ治ってないわよ、久志、ゆっくり歩いて」

佐藤久志が大股で出て行くのを見て、太田沙耶香はすぐに慌てて車椅子を滑らせて後を追った。

一方その頃。

水原優子はすっかり焦りきっていた。

またも五回目の電話、全て繋がらない。

彼女は力なく携帯を置き、顔には明らかな心配と落胆が浮かんでいた。

その表情を見るだけで、高田千咲はすべてを理解した。「まだ出ないの?」

「うん」水原優子は落ち込んだ様子で頷いた。

今や彼女はすっかり取り乱し、完全に慌てふためいていた。

「千咲ちゃん、もう二日も経ってるのよ。電話は出ないし、LINEもメッセージも全然返事がな...

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