第139章-囚人の選択

「もう行っていい」

闇の中から届いたその言葉に、リュティオは自分の耳を疑った。

聞き違いではないのか。いや、そうだろうか。

あの声はまぎれもなく王のものだった。しかも、イグナスじゅうを探したところで、己が本性たる怪物を隠すためにあんな仮面を身につける者など、ほかにいるはずがない。

隠しおおせているつもりなのだろうが、まったくもって失敗していた。

中にはなお、その男の正体を見抜いている者もいる。そしてリュティオもまた、儀式だの村長たちの招集だの、そんなもので作り上げた見せかけに騙される気などさらさらない一人だった。

リュティオは愚かではない。

もし本当に聖人のような男なら、毎年花嫁...

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