第16章-花びらのような金属からの手紙

あの夜、何か奇妙なことが起きたのだろうか。

うーん……

ラケルが部屋から戻る道すがら、まるで恐ろしい災厄にでも遭ったかのようにぶつぶつ言って落ち着きなく震えていたにもかかわらず、あの夜、奇妙なことは何も起きなかった。

少なくとも、ベラドンナの知る限りでは。

「何も触ってないなら、陛下に知られる必要はないの。だ、誰にも見られてない、見たって言える人なんていない。もし……も、もし陛下が訊かなければ、あなたが言わなければ、それは嘘じゃないのよ」

「黙れ、ラケル。絶え間ない独り言でご令嬢が怯えている」コリンがたしなめた。その言葉に、ベラドンナは珍しく感謝した。

王の寝室に戻るなり、二人はお...

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