第161話看板の向こうに迫る危険

あまりにも、あっけないほど急な出来事だった。

耳に入ってくる音という音が、胸の奥の空白と溶け合っていく。何度も何度も、そんなはずはない、と自分に言い聞かせた。ありえない。

アノクが鞄をひっ掴み、彼女の身体をぐいと引き寄せるように回して、城の廊下を引きずるように連れていった。

走った。遠くから人の声が迫ってくる。続いて、鐘を打ち鳴らす音――どん、と腹の底に落ちるような響き。

それもまた遠くから聞こえる気がして、彼女はよろめいた。誰かがぶつかってきたのだ。

足を止め、混乱の渦を見回す。

人々が駆け回り、互いを呼び合う声がぶつかり合い、必死の捜索の叫びが廊下を満たしていた。頭はそのすべて...

ログインして続きを読む