第176話嵐の前の静けさ

「で、どれほど馬鹿げてるってんだ?」とビッグ・クックが言うと、台所いっぱいにどっと笑い声が弾けた。

「馬鹿げてる?」ベラドンナは尋ねた。説明をする気配もない男から視線をそらし、物語を約束するあの声がした方へ顔を向ける。

「子どものお話に出てくる名前さ」

「妖精譚だな」別の者が付け足す。

「童話って言いたいんでしょ」

「馬鹿だと思うんならそう思っとけ」ビッグ・クックが言い添えた。

「その童話って、どんな話なの?」ベラドンナは問うた。なぜだか心臓がどくどく鳴りっぱなしで、その音が思考を押し流していく。

「ないもんが見えるって言い張る、間抜けなガキの話さ。阿呆だ。気にするこたぁねえよ、...

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