第233章-最も穏やかな静けさ

「陛下のご命令、ですか?」

その言葉だけで、ベラドンナの心臓は何拍も飛ね上がった。胸の中では、心配などするまいといくつもの理屈を組み立てようとするのに、どれもこれも無惨に崩れていく。

視界の端で、アラリスが彼女を自分の背後へ引き寄せるのが見えた。彼の手の周りを、炎の名残がひとすじ、するりと走る。迫ってくる兵たちへ向けられた視線は、一点に据えられたままだ。それが彼女の神経を尖らせた。いま必要なのは厄介ごとではない。けれど同時に、ここには自分に何も起こさせない者がいる――そう思えることが、わずかな安堵にもなった。

もちろん、それは彼女が彼の「ここから抜け出す道」だからだ。

その事実だけは、...

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