第21章-あなたには私たちがいます

ナディアが彼の前を駆け抜けていったとき、ケンジはちょうど扉の外にいた。呼び止めようとしたが、彼女は手を上げてみせた――邪魔をしないで、という合図だった。

あんなナディアは珍しい。いつもは内気で、朗らかな子なのに。

もしかすると、ついに気づいたのかもしれない。兄が自分に目を向けてくれないのだと。

――ああ、真夜中の思いというのは、ときに不穏で、ときに目を覚まさせる。

彼女は癒えるだろう。

とはいえ心配ではあった。彼女が駆け込んでいった森で、何か起きなければいいが。灯りは持っていたとはいえ、森だ。だが、この場所をナディアほど知っている者は、祖母を除けばいない。彼女なら自分で身を守れる。

...

ログインして続きを読む