第52章-残酷

飢えきっていて、しかも獣じみた激しさに突き動かされるまま、彼の唇は彼女の唇をむさぼった。

手袋をしたままだということも忘れ、彼の手は必死に、狂ったように彼女のドレスの上を上下にさまよい、どこかに開きがないか探した。このくだらない布地に遮られている、あの温かな肌に触れたかったのだ。今以上に、この瞬間へと深く溺れてしまいたかった。

これ以上、失うものなどまだあったのだろうか。

イグナスに誓って、彼は彼女の中で我を失いたかった。彼女の中に埋もれて。

深く。

あの濡れたぬくもりの中で、道を見失いたかった。

その記憶が、彼を疼かせた。

もう気が狂いそうだった。

正気ではなかった。

抑制...

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