第35章-花嫁を盗む人?

地下牢はもともと恐ろしかったが、今はそれ以上に恐ろしかった。

王はひと回りもふた回りも大きくなったようで、彼女の上に覆いかぶさるようにそびえ立っていた。

彼女は身をすくめ、かすかに震えた。

こんな王の姿は見たことがなかった。もし見たことがあったとしても、思い出せなかった。

どうして、自分には思い出せないことがこんなにも多いのだろう。

血管の中を激しく駆けめぐるこの恐怖のせいなのだろうか。

「へ、陛下……?」彼女はどもった。

「そんな夢を見始めた時点で、すぐに私へ告げるべきだった!」

彼女の足が石の床をそろそろとこすり、気づかれないほどわずかに後ろへ下がった。

「わ、わたし……...

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