第81章-ほろ苦い

「ここだった?」

彼女の問いは不意打ちだった。言葉の意味を飲み込むのに、彼は自分でも呆れるほど時間がかかった。頭を占めていたのは、ただひとつ――彼女が自分に触れている、という事実だけだった。

酔っているのだろうか。いや、酒の匂いはまるでしない。

「短剣よ。ここだった?」

ああ、彼女が確かめたいのはそれか。

「そうだ」

腕の中では、眠りと玩具を追う意地のあいだでアーロがもぞもぞと抵抗している。もし両手が空いていたなら、彼は彼女の手を握り、永遠にそのぬくもりを肌に留めておきたかった。

彼女はボタンに手を伸ばしかけて止まり、顔を上げた。彼がごく小さくうなずくと、彼女は息をのんだよう...

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