第83話ちょっとした盗難

満月が、彼女にさらなる力を与えていた。

これ以上に完璧な夜はない。

力が血管の中を奔流のように駆け抜けていくのがわかった。心を縛っていた鎖はすでに消え失せ、そのことが彼女を恍惚とさせる。指先にはぴりぴりとした痺れが走っていた。

タナトゥは、もう死んだに違いない。

彼女はついに自由を手に入れたのだ。

だが、エリを取り戻さなければならない。とはいえ、問題がいくつかあった。

どうやって、この山から死なずに下りればいいのか。

そもそも、ここはどこなのか。

そのあたりは、いずれ時間をかけて解き明かせばいい。

ただ、自分の糸をたどっていけばいいのだから。

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イナイミでは...

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