第92章-一方的なさようなら

 そうして、夜明けが来た。

 露の匂いが空気を満たし、空にはまだ闇が名残をとどめていた。

 イーライがベラドンナをケストラの亡骸のもとへ連れていく時だった。

 主人に命じられたとおりに、彼が従う時だった。

 二人きりで、森の中を踏み分けて進んでいた。イーライは片手にランタンを持ち、もう片方の手で彼女の手首をつかんでいた。何があっても逃がさないために。

 ベラドンナはちらりと彼を見上げた。

 イグナスにかけて、彼が恋しくなる――そう思った。もしこのことで自分が死ぬのなら、彼はきっと正気を失う。この瞬間を、自分を死へ導いた時として、何度も思い返し続けるのだろう。この状況はコリンのことを...

ログインして続きを読む