45-テスト

提灯が彼女の手からするりと抜け落ち、地面にぶつかった。その一瞬、世界のすべてが静止してしまったように感じられた。息をすることさえできないほど、しんと。

その一瞬で、彼女の世界はいったん崩れ落ち、そして再び組み上がった。

エリ。

心の中でその名をささやいた。だが唇は衝撃に凍りつき、声にならない。涙が下まぶたいっぱいにせり上がる。

「ドナ」

身体が勝手に動いた。彼のもとへ間に合わなければ、霧とともに消えてしまう気がして、彼女は駆けだした。本当にそこにいるのだということさえ、恐ろしかった。

彼の腕の中へ飛び込むようにぶつかると、あたたかな両腕が彼女を包み込んだ。涙が頬を伝い落ち、唇が重な...

ログインして続きを読む