第64章-揺るぎない障害

彼の茶色い瞳には、彼女の奥底を鋭く突く何かがあった。決して手が届かない場所の、深く埋もれた記憶を無理やり揺り起こされるような――。

これは、彼が持つ一種の能力なのだろうか。相手を、目の前に立たせるだけで居心地悪くさせる。

嫌だった。混乱する。

こんなもの、彼女には必要ない。二度会っただけで覚えられ、しかも本来なら目立つべきではない場所で目をつけられるなど、まったく望んでいなかった。

「怪我をしているのか?」

「だ、大丈夫です……閣下」そう言いながら、彼女は慌てて立ち上がろうとして、また失敗した。

思っていたより、転び方がひどかったのだ。脱臼か、それとも骨折か。なのに、なぜまだ耐えが...

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