73-ヒート・イン・ザ・エア

ずいぶん、たくさんのことだ。

イグナスに誓って、本当に、できることなら考えたくもないことばかりだった。

「急に、ひどく暑くなった気がするわ」

彼女は窓辺から離れ、シオンの視線が戸惑いのままその動きを追った。

「落ちてきた物が本当に〈月の贈り物〉だったって、確かなの? 本当は太陽だったんじゃないの?」

シオンの不安はいっそう深まった。

「汗をかいておられます。癒やし手を呼びましょうか」

彼女は首を振った。そこまでする必要はないように思えた。ただ、何枚も服を着込みすぎているような感覚があるだけだ。けれど実際に身につけているのはこのドレスだけ――なら、いったい何が起きているというのだろ...

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