75-「苦しむ。」

彼女はびくりと身を起こしかけるような半端な姿勢になり、髪に差し入れていた手を白い浴槽の縁へと跳ね上げ、ぎゅっと掴んだ。次に吐き出すはずだった言葉は呻き声に溶けたが、それで終わりではない。身を乗り出し、二人の距離を詰める。膝をつく彼はわずかに前屈みになっていて、痛みを堪える怒り混じりの荒い息が、扇のように彼女の頬を撫でた。

「……あ……イクルス。お願い、手伝って」声は震え、身体はゆっくりと痙攣するように揺れ、水面の動きがいっそう激しくなった。「シーツに絡まって、自分の死といっしょになんて嫌。私は――別のものがほしい、別の誰かが」もう座った姿勢を保てず、もがきながら頭を彼の胸に崩れ落とす。彼の胸...

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