92-ひどい仲間、もっと悪い父親。

【ライカン領】

「命を救ってくれたのよ!」アニヤは部屋に入るなり叫んだ。イークルスは背後で扉を閉め、彼女を放した。

アニヤはすぐさま彼から距離を取るように数歩下がった。

「危険だった」イークルスは硬い声で言った。必死に平静を保とうとしているのがわかる。「感じたんだ」次の言葉とともに、その瞳に裏切られたような光が走った。「それから痛みを感じた。おまえを行かせるべきじゃなかった」

「そんなこと、どうでも――」

イークルスは彼女の肩を両手で包むようにつかみ、動けないようにして真正面から見据えさせた。

「月に誓う。おまえのことが心配で気が狂いそうだった。それなのに、おまえは見知らぬ男に唇を...

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