121-城壁のいたずら

顔を覆っていた布が引き剥がされ、ベラドンナの視線が最初にとらえたのは、ガラスの棺に横たわるレディの亡骸だった。

まるで眠っているように見えた。だが、眠ってなどいない。ベラドンナには、それがはっきりとわかった。

彼女のことは覚えていた。遠い記憶の底に、その面影があった。

ひとつの記憶が脳裏をよぎる。この女性が短剣を手渡し、頬に口づけを落とす記憶。けれど、その口づけを受けたのは彼女ではなく、シノラだった。

リティアだ。

アラリスと彼女が城に侵入したとき、女王を慰めていたのはこの人だった。あの日、ベラドンナはその姿を見てはいない。だが、あの夜に耳にした声は、自分が本来関わるはずもなかったそ...

ログインして続きを読む