第56章-噴水のそばで

「君を知れば知るほど、私は二つの戦いの狭間に囚われていった。片や――」彼はそう示すように目の前で片手を持ち上げ、その視線を彼女の上にかすかに滑らせた。「今度こそ違う結末になるのではないかと思っていた。そしてもう片や――」今度は反対の手を上げる。「結局は同じことの繰り返しになるのではないかと、どうしても考えてしまった」

彼の視線は彼女の背後の壁へ移り、その関心を引いたものへと手を伸ばした。

小さな、やわらかな音がして、植木鉢がかすかに揺れる気配があった。そのあとで彼が何かを彼女の髪に挿し入れるのを感じる。左耳の端に、ほのかに軽い重みが触れた。

花だった。

それを終えると、彼は身を引いた。...

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