第61話王冠をかぶった恋人

「彼が私を支配していると思う?」

「いったん姿を現したなら、その時点でもう支配されている」

彼は彼女の顔を見上げる前に、その視線を彼女の首飾りの上にじっと留めた。

次に口を開いたとき、その声は少し晴れやかに聞こえた。

「だが、もう君の夢には現れない。私と一緒にいれば、君は安全だ」

けれど、彼女は安全ではなかった。

胸の中で心臓が激しく打ち鳴らされ、その轟きが耳の奥まで満たしていた。

「今までに、花嫁を救えたことは一度でもあるの?」

彼は座ったまま居心地悪そうに身じろぎし、彼女の手を自分の手の中でぽんぽんと軽く叩いた。「ない」

「……そう」

彼の腕が彼女の肩を回り、引き寄せる...

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