第68話タトゥーの瞬間

それは渦を巻く線だった。三つの異なる角度へと伸び、それぞれの先端がくるりと丸まっている。小さく、黒い。彼女は今夜まで、それを見たことがなかった。

「あなたにもあるのね」

ベラドンナはラクエルを見上げた。だが、その目に浮かぶきょとんとした色が変わらないのを見て、言葉を足した。

「刺青よ」

「ああ、それ」ラクエルはくすくすと笑った。「みんな持ってるわ」

目を細め、そこにあるはずのものを探すようにベラドンナを見つめる。やがて諦めたように視線を戻し、不思議そうに首をかしげた。

「あなたは、ないの?」

ベラドンナはラクエルの肩から手を離し、首を振った。

「ないわ」

「で、でも、みんなあ...

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