第77章-息をのむ絵画

「これが、俺の家族だ」

絵の上に掛けられていた黒い布が、するりと床へ滑り落ちた。

部屋は、ベラドンナが前に来た日のままのようだった。いくつもの絵が外され、覆いが掛けられていて、空気にはほこりっぽい匂いが漂う。だが、彼女が初めてここへ足を踏み入れた日に目にした絵ではない。

この絵は違って見えた。どこか……生きているみたいに。

大きな額の中に、四人がいた。

彼の母親。引き締まった体つきの女で、切れ長の赤褐色の瞳にはユーモアの光が宿り、太く艶のある黒い眉と高い頬骨が目を引く。首はどこか不自然に長く、すっと伸びて見えた。赤褐色の髪は太い一本のコーンロウに編み込まれ、顔の一部を隠すように、波打...

ログインして続きを読む