第79章-息をのむような

「最初は気づかなかったんだが、毎晩決まって、私たちがあの小さな居間で暖炉のそばにいると、兄弟たちの誰かが彼女のところへ来た。手を取って、扉の向こうへ連れ出していく。みんな彼女にはとても優しく見えたから、私は何ひとつ疑わなかった」

その声に必死で押し隠そうとしている怒りを、ベラドンナは感じ取った。ケストラは、彼にとって本当に大きな存在なのだろう。

それが、彼女の胸に複雑な思いを生んだ。

だがひとつだけ確かなことがあった。ケストラのことを思うと、たまらなく胸が痛んだ。あの傷痕の理由も、これで少しわかった気がした。

彼女は腕を胸の前で組み、顔をしかめたまま、視線を床に落とした。だが意識はそこ...

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