第88章-ちらつくろうそくの明かり

「俺に生意気な態度を取るんだ。」コリンの素っ気ない声が、重たい沈黙を切り裂いた。彼はラケルに、もう一つ空の籠を渡す。

こうなることはわかっていた。けれど彼女は何日も、それを避け続けてきた。コリンの目には、口にできない言葉が沈殿しているようで、その重みが彼の胸を目に見えるほど押しつぶしている。いつもは泰然としている夫が、昨日、地面から籠を持ち上げて階下へ運んだときの所作には、わずかながら平静さが欠けていた。

老い? いいえ。まだ、そんな歳ではない。

その行為――いや、ここでは行わなかったこと、と言うほうがふさわしいかもしれない――は、あまりにも些細なものだった。

些細すぎて、十年以上も夫...

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