第2章

レザーが脚に焼け付くようだった。良平の手が私の膝を探り当て、指がぐっと押し付けられる。誰が主導権を握っているのかを思い出させるのに、十分な強さで。

「佳奈。あそこで正しい選択をした君を、俺は誇りに思うぞ」

正しい判断。もっとも、自分で自分の処刑方法を選んだような気分だったが。

「あの弁護士はな、俺たちの家族を壊そうとしてただけなんだ」と良平は続けた。

私は答える。「ええ、そうね、良平」その言葉は、口の中で鉄の味がした。「最初からあなたを信じるべきだったわ」

彼の親指が、優しく円を描くように動き出す。静かでありながら、紛れもない存在の誇示だった。「これで、こんなことは全部忘れられる。君と俺、二人きりだ。本来あるべき姿だよ」

本来あるべき姿。彼の言う普通。私にとっての地獄。

良平は尋ねた。「お祝いしないか? ミルクランドにでも行くか?」

お祝い、か。私の降伏と、玲子の逃亡を。

私は応じた。「いいわね」

無線が雑音を立てた。「こちら小平7。桜通りで夫婦げんかの通報入りました。現場に向かいます。」

良平はそれに手を伸ばし、――やめた。代わりに私に微笑みかける。「それは他の誰かが対応するさ。今日は俺たちのための日だ」

ミルクランドは、中央通りに佇む、赤と白の灯台のようだった。田舎町のありふれた日常を象徴する光。

中に入ると、午後の暑さを和らげるエアコンの唸る音が聞こえ、赤いプラスチックのブース席には数人の地元客が座っていた。良平は一番目立つ中央のテーブルを選んだ。誰もが私たちを見られるように。幸せで、和解した二人を。

「佐藤署長!」須田さんが駆け寄ってきた。十六歳。金髪のポニーテール。「なんだか大変だったって聞きましたよぉ。でも、丸く収まってよかったですね」

「ただの誤解だよ、須田さん」良平の声が店内に響き渡った。芝居がかった声だった。「外部の人間が問題を起こそうとしてね、よくあることだろう」

彼はレストラン全体に聞こえるように、わざと大声で言った。

坂井さんがコーヒーから顔を上げた。感心したように頷く。「いつも言ってることだがな、夫婦ってのは許し合うことが大事なんだ。あんたは良い手本だよ」

吐き気がした。代わりに私は微笑み、欲しくもないチョコレートシェイクを注文した。甘くて、罪のない飲み物。感謝に満ちた妻が頼むようなものを。

「この方がずっと気分がいいだろう?」良平は身を乗り出し、献身的な夫を演じた。「もうストレスもない。弁護士のくだらない戯言で頭を悩ませることもない」

「ええ、ずっといいわ」私は同意し、赤いプラスチックのスプーンでシェイクをかき混ぜた。

良平は私の携帯電話を取り出した――いつの間にハンドバッグから?――そして、当たり前のような権威をまとってスクロールを始めた。「見ろよ、あの弁護士からの毒みたいなメッセージの数々を。これじゃ君が混乱するのも無理はない」

彼が玲子のテキストをスクロールしていく間、私の心臓は激しく打ち鳴っていた。何週間にもわたる計画。保護施設の電話番号。法的なアドバイス。そのすべてが、彼の親指の下で消えていく。

反応してはいけない。彼を満足させてはいけない。

私は言った。「彼女がどんなふうに私を操っていたか、今ならわかるわ。ごめんなさい、良平」

「ほら」彼は画面を掲げ、玲子の連絡先が削除されたことを見せつけた。「これで白紙に戻った。もう俺たちの結婚に口出しする奴はいない」

実のところ、玲子の番号はもう暗記していた。脳に焼き付けていたのだ。

家までの帰り道、山田郡の果てしなく平坦な平野を抜ける。再び良平の無線が雑音を立てた。

「こちら小平7、例の弁護士の車両が国道35号線方面へ向かうのを確認。完全に町を離れる模様」

良平の満足げなうなり声に、肌が粟立った。「な? 問題解決だ。厄介者が自分の立場をわきまえれば、いなくなるのさ」

彼はすでに自分の物語を構築し始めていた。善良な夫婦を破壊しようとした外部の扇動者。家族を堕落から救った賢明な夫。

「これからは、外部の友達はなしだ」彼の視線は道路に注がれたままだった。事務的な口調で。「俺たちにはお互いがいる。それだけで十分だ」

あなたに必要なのは支配でしょう。

「俺が君の面倒を見る、佳奈。夫として、そうあるべきなんだ」

看守が囚人を見張るように。

前方に私たちの家が見えてきた――白い柵に囲まれ、手入れの行き届いた芝生のある、こぎれいな平屋建て。完璧な警察官一家の家。良平が私道に車を停めると、玄関のそばに何か新しいものがあるのに気づいた。

「あれは何?」私は尋ねた。

「防犯カメラだ。今朝、君が裁判所に行く準備をしている間に設置した」彼は車から降り、自分の仕事ぶりに満足げだった。「これで、俺が職場にいる時でも家に目を光らせておける」

私を監視する、という意味だ。

「それから、佳奈」彼は私に向き直り、何気なく拳銃に手を置いた。「抜き打ちの訪問者はもうなしだ。誰かが玄関に来たら、まず俺に確認しろ」

電子の目が、じっと見下ろしている。私の一挙手一投足が記録されるのだ。

私は家に帰った。私は、囚われた。

夕食はポットローストだった――良平の大好物。私は彼の大好物をいつでも用意できるようになっていた。彼が口にする前にその要求を予測することを学んだ。呼ばれるまで背景に溶け込む術を学んだ。

「考えていたんだが」良平が言った。「佳奈、仕事はしばらく休んだ方がいい。肉体的にも精神的にも、回復に専念しろ」

病院の仕事。外の世界との、私の最後の繋がり。「でも良平、私は仕事が好きなの。それに収入も必要だし……」

「この家族を養うのは俺だ」彼の声には、私が知りすぎているほどの険があった。「君の仕事は、良い妻でいることだ。今はそれで十分な責任だろう」

彼は手を差し出した。「クレジットカード、キャッシュカード。君が元気になるまで、うちの金は俺が管理する」

私はそれらを手渡し、私の最後の独立の切れ端が、彼の財布の中に消えていくのを見つめた。

「一時的なものだ」と彼は請け合ったが、私たち二人とも、それが嘘だと知っていた。「君が強くなるまでだ。また、はっきり考えられるようになるまで」

その夜、私はベッドに横になりながら、良平が新しいセキュリティシステムをテストする音を聞いていた。彼がモーションセンサーやドアアラームを丹念に設定し、侵入不可能な要塞を築き上げていくにつれて、家中にリズミカルなビープ音と電子音が響き渡る。彼は、私だけの完璧な檻を完成させていた。

私は横向きになり、手をナイトスタンドへと滑らせた。引き出しの前面の裏に、テープで固定された良平の予備の拳銃がある。彼は私がその存在を知らないと思っていた。

それは間違いだった。

私は目を閉じ、計画を練り始めた。別の時間軸では、私は受け身だった。救助を待ち、誰かが助けてくれることを望んでいた。

今回は違う。

良平は私を檻の中に閉じ込めたと信じている。だが、どんな檻にも鍵はある……そして、どんな看守にも脆弱性は存在する。

セキュリティシステムが、最後のビープ音を鳴らした。良平の足音が寝室に近づいてくる。私は呼吸を整え、眠りを装い、待った。

待っていなさい、佐藤署長。飼い犬が牙を剥くこともあるのだと、その身をもって知ることになる。

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