第5章

私たちの、最初の結婚記念日。

一日中、準備に追われた。部屋の飾り付け。良平の好きな料理。専門店で買ったワイン。

そして、サプライズも。

「玲子が夕食に来るの」良平がドアから入ってきたとき、私は告げた。「素敵でしょ?」

良平の表情がこわばり、その笑み――無理やりで氷のように冷たい――は、ぎこちなく顔に張り付いていた。「なんて……気が利くんだな、佳奈」と彼は言った。

玲子は七時に現れた。都会的な服に身を包み、自信に満ちた笑みを浮かべて。

「佳奈ちゃん!」彼女は私を強く抱きしめた。「なんだか……雰囲気、変わったわね」

少し痩せて、化粧をする習慣もやめていた。私は微笑んで答...

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