第6章

翌朝十時には、私は病院の駐車場にいた。

すぐに銀色のアウディが目に入った。心臓が止まる。

玲子。

彼女は自分の車に寄りかかり、書類を抱えていた。その自信に満ちた佇まいは以前と少しも変わらない。

私は良平のパトカーを探した。彼の仲間も。

誰かに報告されるのだけはごめんだった。

「玲子?」私は小声で呼びかけ、急いで駆け寄った。「ここで何してるの?もうとっくにここを離れたと思ってた」

彼女は背筋を伸ばし、その瞳に炎を宿した。「あの法廷で何があったのか、考えずにはいられなかったの。佳奈は怯えてた。私にはわかった」

恐怖が喉を締め付ける。「ここにいちゃだめ!もし彼があな...

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