第3章

イサドラ

薬の効きは思ったよりも早かった。

セバスチャンの体は震え始め、額からは汗が滑り落ちる。カーテンの隙間から差し込む月光が、彼の顔に影を落とした。もがかうとしたが、手足はまるで自分のものではないかのように、弱々しく力が入らない。

「ご気分はいかが、愛しい旦那様?」私はベッドの端に腰掛け、彼の胸を指でなぞった。

「この……狂った女め……」彼の声はすでに震えていた。「必ず報復してやる……」

私は静かに笑った。「何で? 今のあなた、指一本動かすのもやっとでしょうに」

それが真実だった。セバスチャンの体は完全に自由を奪われていたが、意識だけは痛々しいほどにはっきりしていた。それこそがこの薬の素晴らしいところ――抵抗する力もなく、屈辱の一瞬一瞬を味わわせてやれるのだ。

私は彼のシャツのボタンを外し始めた。「さあ、この結婚のルールを書き換えましょうか」

その後数時間、私はこの逆転した力関係を心ゆくまで味わった。私を殺そうとしたこの王子は今や、罠にかかった獣のように、完全に私のなすがままだ。本当の無力感がどういうものか、彼に思い知らせてやった。

「頼む……やめてくれ……」三時間が過ぎた頃、セバスチャンはついに懇願した。彼の目尻から涙が滑り落ちる。「いっそ殺してくれ……もう耐えられない……」

私は動きを止め、彼の耳元に顔を寄せた。「死ぬなんて、あなたには生易しいわ、セバスチャン。あなたは生きるのよ。そして、私を敬うことを学ぶの」

夜が明ける頃、セバスチャンはついに疲れ果てて眠りに落ちていた。私は起き上がって部屋を片付け、怪しい痕跡が何も残らないようにした。上着をクローゼットに掛けようと持ち上げると、ポケットから小さな小瓶が転がり出た。

屈んでそれを拾い上げると、ラベルがすぐに目に留まった。『心臓薬』。

『なぜセバスチャンが心臓薬を? 馬のように健康な彼が』

蓋をひねると、かすかな苦い香りが漂った。その香り……。

『これは心臓薬じゃない。濃度が異常に高い……遅効性の毒として使われている』

瞬時に、すべてのピースが繋がった。国王は最近衰弱しており、医師たちはそれを加齢による心不全だと診断していた。だが、もし誰かが彼の薬に過剰なジギタリスを混ぜていたら……。

セバスチャンが、国王を毒殺しようとしている。

私は雷鳴のように激しく鼓動する心臓を押さえながら、小瓶を注意深く元あった場所に戻した。事態は私が想像していたよりもずっと大きい。私はただ自分を殺そうとした夫を捕らえただけではなかった――進行中の王室暗殺計画を発見してしまったのだ。

『これこそ完璧な武器。どんな物理的な支配よりも強力な』

平然と振る舞わなくては。朝食の部屋へ向かい、従順な新妻の役を演じなければ。

私が王家の朝食室に入ると、国王と王妃はすでに待っていた。二人の視線がすぐに私に注がれ、その目に期待が宿っているのが見て取れた。

「セバスチャンはどこにいる?」国王が心配そうな声で尋ねた。

私は顔を赤らめてうつむいた。「彼は……まだ休んでいます。昨夜は……その、お疲れになったようで」

王妃の顔が満足げな笑みで輝いた。「よくやった、子よ」

私の顔はさらに赤くなったが、今度は演技だ。「これからも、励みますわ」

「よろしい」国王は頷いた。「王家には世継ぎが必要だ。この件で時間を無駄にはできん」

私はティーカップを持ち上げ、声を震わせないように必死で言った。「世継ぎを授かるまで、どうかお時間をくださいませ。良き妻となりますゆえ」

『あなたの可愛い息子が、あなたを毒殺しようとしているとも知らずに』

朝食の間中、私はこの発見をどう利用するか計算していた。これはセバスチャンに対するただの切り札ではない――彼を完全に破滅させられる、究極の武器だ。

部屋に戻ると、セバスチャンが服を着るのに苦労しているところだった。薬の効果はまだ完全には抜けていないらしく、指が震えてシャツのボタンさえまともに留められない。

「どこかへお出かけ、ダーリン?」私は静かにドアを閉めた。

彼は振り返り、青ざめた顔で言った。「ここから離れる。お前から離れるんだ」

「それは無理な相談ね」私はポケットから小瓶を取り出し、手の中で優しく振ってみせた。

セバスチャンの顔は瞬時に紙のように真っ白になった。

「愛しい旦那様、あなたのお父様への特別な『お薬』について、お話ししましょうか……」

小瓶が立てるかすかな音が、静かな部屋にやけに鮮明に響いた。セバスチャンの目に恐怖が走り、次いで絶望が浮かんだ。

「何の話だか、さっぱりわからないな」彼の声は震えていた。

「ジギタリス」私はゆっくりと彼に歩み寄った。「少量なら心臓病の治療薬。過剰摂取すれば不整脈、呼吸困難、そして最終的には心不全を引き起こす。現在の国王陛下の症状と、見事に一致するわね」

セバスチャンは椅子に崩れ落ちた。「どうして……どうしてそれを……?」

「そんなことは重要じゃないわ」私は彼の前にしゃがみ込んだ。「さあ、私の夫としての、あなたの新しい義務について話し合いましょう」

「何が望みだ?」彼の声はかろうじて聞き取れるほどの囁きだった。

私は微笑んで立ち上がった。「第一に、二度と私を傷つけようとしないこと。第二に、少なくとも公の場では、完璧な夫を演じること。そして最後に……」

私は小瓶を、時を刻む爆弾のように化粧台の上に置いた。「もし、この小瓶が国王の元に届けば、どんなことになるの?だから、私の言うことはすべて聞くほうがいいよ、ダー~リン」

セバスチャンは目を閉じ、まるで魂が抜き取られたかのようだった。「……わかり、ました」

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